ふるさと納税は2008年に始まりました。特に、ここ10年くらいは利用する人が右肩上がりに増えて、直近の令和6年度の住民税で控除を受けた人は1000万人を超えています。

他方、ふるさと納税のポータルサイトの一つの「ふるさとチョイス」を運営する会社がアンケートを実施したところ、意外に手続のことを知らない人が多いということが分かったとして、注意喚起をしておりました。

税金のことをよく分からずにふるさと納税をしている人が多数派ではないにしろ、それなりにいそうだということを示しているのだと思います。私はこのアンケート結果を見て、かなり驚きました。
ふるさと納税をする人が増えたことにより、税金のことをよく知らないまま利用する人も増えたということではないかと思っています。
ふるさと納税はうまく活用すれば得なのですが、手続をせずに税額控除を受けないままだと何ら得ではありません。
(例)18,000円をふるさと納税して、米10キロの返礼を受けた場合(控除限度額がこれ以上あることが大前提)
きちんと手続きをすれば、2000円は自己負担になりますが、16,000円が所得税・住民税から差し引かれます。
米10キロは今は8000円くらいしますが、18,000円を支払うけれども、税金が16,000円少なくなっているので、差し引き2000円で8000円くらいする米10キロを貰えるということになり、これはかなりお得です。
ところが、手続きをしないと、税金16,000円が差し引かれないことになりますので、8000円くらいの米を18,000円で買っていることと同じことになります。なので、すごい損になります。
ふるさと納税は、税金を納めている人でないと得になりません。
ふるさと納税は、税金を納めている人の負担を少なくする仕組みですので、税金を納めていなければ得になりません。
例えば、その人の1年間の収入が給与100万円のみのアルバイトやパートの方の場合、税金は住民税の均等割しか発生しませんので、ふるさと納税をしても得にはなりません。
ふるさと納税による控除は年末調整でやってくれません。
会社員の方は、毎年12月になると年末調整でいつもよりも手取額が多くなることが多いです。
これは、会社が年末調整をして税金を計算してくれるからですが、年末調整では寄付金控除はできないことになっています。
ふるさと納税は市町村に寄付をすることで税金を少なくする仕組みですので、寄付金控除がかかわってきます。
しかし、年末調整で寄付金控除をすることができないため、ふるさと納税も年末調整では考慮されません。
そのため、ふるさと納税した分税金を少なくするには、原則として確定申告をすることが必要です。
ただし、確定申告をしない多くの会社員のために確定申告をせずにふるさと納税をした分税金を少なくする仕組みがあり、それが「ワンストップ特例」です。
「ワンストップ特例」は寄付をするときに「ワンストップ特例」を利用することを申請すれば、後日、寄付をした市町村から寄付金の証明書とともに必要書類が送られてきますので、それを提出すれば利用できますので、難しいわけではありません。
しかし、「ワンストップ特例」を使うと申請しなかったり、書類が送られてきても提出しないままになっていると、「ワンストップ特例」は利用できませんので、ふるさと納税をした分税金を少なくするためには確定申告をする必要があります。
せっかく、ふるさと納税を利用するからにはよく理解してきちんと控除を受けられるようにしたいものです。