会社の社長さんの中には、自分の配偶者や子どもを従業員として働かせている人も多いと思います。
社長の子どもといえども、最初は簡単な仕事から始め、徐々に重要な仕事を任されるようになるというのが普通ではないでしょうか。
子どもが成長するのは頼もしいことではありますが、税法上のみなし役員に該当しないかを注意しなければなりません。
みなし役員とは?
役員というのは、取締役とか監査役です。
会社法上、役員は株主総会で選任されなければなりません。
社長の配偶者や子どもであっても、株主総会で選任されなければ、会社法上は役員となることはありません。
ところが、法人税法は、一定の条件を満たすと、本当は役員ではない者を税法上は役員とみなすという規定を置いています。
これを、「みなし役員」と呼んでいます。
「みなし役員」になる場合
① 同族会社の使用人であること
② 会社の経営に従事していること
③ 次のア~ウの全てを満たすこと
ア 株式の所有割合を合計して初めて50%超となる上位3位以内の株主グループのいずれかにその者が属していること
イ その者が属している株主グループの株式の所有割合が10%を超えていること
ウ その者や配偶者などの株式の所有割合が5%を超えていること
③はこれを見ただけでは何を言っているのか分からないと思いますので、もう少し単純化します。
社長が会社の株式の大半を持っているような会社の場合、社長の妻は、自分が会社の株式を全くもっていなくても、③のア~ウを全て満たします。
子どもの場合は、5%を超える株式を持っていると、③のア~ウを満たします。
つまり、社長が会社の株式の大半を持っている同族会社の場合、社長の妻が従業員であっても会社の経営に従事していれば、それで役員とみなされます。
子どもも、従業員であっても、その子どもが5%超の株式を持っており、かつ、会社の経営に従事していれば、役員とみなされます。
役員とみなされると、給料が損金に算入されないケースがあります
社長の妻や子どもであっても、従業員である以上、給料を払うことになります。
ところが、役員とみなされると、それは給料ではなく、役員報酬という扱いをされます。
法人税法は役員報酬について規制をしています。
そのため、定期同額給与や事前確定届出給与など法人税法上の要件を満たさない限り、損金に算入できません。
具体的には、残業代やボーナスが損金に算入できない場合があります。
まとめ
税務調査で、みなし役員と指摘されて、法人税の追徴を求められるのは痛いですので、親族を従業員とする場合は注意したいところです。
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